ゆうきのブログ

個人のメモ用の、少し堅めの内容のブログです。

アタッチメント理論に基づいた発達性トラウマ障害に関する研究

【アタッチメント理論に基づいた発達性トラウマ障害に関する研究】

いやあ、これはなかなか興味深い研究報告書を見つけてしまいました。

201907005A0011.pdf (niph.go.jp)

結構現場では混乱しているところやと思うんですよ。

今、自分の学びがまさにここ。

 

報告書の前半は、一般的なアタッチメントに関する記載です。ググったら今わりとどこでも手に入る情報で、後半から面白くなってきます。

DSM-5で愛着障害は診断されますが、現場ではその間の、いわばグレーな子の支援に悩んでいる現状かと思います。

それに対しジーナは、独自の診断基準を加えて(表2)、アタッチメントパターンと愛着障害の関係(図2)を整理しました。

ここの整理を読むと、いわばグレーの子たちも含めた大きな話になると思います。

そう、つまり、アタッチメント障害も”スペクトラム(連続体)”であって、そういった広い視野で捉えていくことが重要で。なぜその視点が必要かというと、ユニバーサルな視点に繋がると思うからです。

でないと「発達障害愛着障害か」というような話に終始してしまい、いわばラベリング作業で終わってしまう危険性があると感じています。これはデメリットだと感じています。

そして後半に発達性トラウマ障害も加えて登場します。そう、「発達障害」と「アタッチメント障害」と「発達性トラウマ障害」と。この3つの視点があると、現場にいて「見えない/わからない」ものが、少し見えてくるように思います。これをセットで書いてあるなんて、なかなかステキな報告書やと思います。

話しの結論ではやはり、「子どもの状態だけを見て判断することは難しい」といったことと、生育歴をたどることの重要性、両者が併存し、線引きが難しいということが挙げられています。

臨床的な一定の判断としては、アタッチメント障害では、周りの大人の関わりが変わると、比較的速やかに(2~3ヶ月くらいの期間で)改善する場合が多く、子どもの問題提起行動が変化することも見られます。しかし、発達障害の際には子供の変化に年単位の期間が必要で、家でも学校でも行動にそれほど差が見られない、という両者の違いが見られがちなようです。

こういった基礎研究の知見を臨床に寄せていく報告書も、現場の人間としては増えていってほしいなと思いました。