【わかりやすく伝えることの功罪】
30を超えた辺りから、人前で、セミナーや講義で話すことがポツポツと出てきました。
今まで何回人前で話したかは数えたことはないので不明ですが、多いときは年に15回くらいでしょうか。
若い頃は、「とにかくわかりやすく話し、伝える」ことに一生懸命になっていました。
でも最近、「それっていいのかな?」と思っています。
子供の支援を考える上で、本当に大事なことって、簡単に伝わるものではないと思っています。
「1、2回、話を聞いたからできる」ものでは絶対になると、言えるでしょう。
それを「1、2回、話を聞いて理解できる」ようにすることの方が、矛盾があると思い始めたからです。
そもそも、実際の支援って、紆余曲折があって、グチャグチャしながらも、亀のようにゆっくりと前に進んでいくものだと思っています。
それを「スマートに」「いかにも悩まずにうまく進んでいる」ように話すことは、大いなる誤解を生じさせるもとになると思っています。
「あの人なら簡単にできるのに、自分はうまくできていないから、日々悩みながら支援を考えている」
といった風に映ってしまうと思います。そんなことはないのに…です。
やっぱり、支援や言葉って、あくまで話し手のものであって、どれだけ「完璧に伝わる」ことを求めたとしても、それは不可能なんでしょう。
だったら、ごちゃごちゃしたものはごちゃごちゃしたまま、小難しいものは小難しいまま、ありのままにやったことを伝える方が、齟齬もないし、遥かにいいのではないかと思います。
支援で一番大事なものって、子供と支援者が変われば違います。
だから、相手に伝えるように意識することは大事だけど、「わかりやすく伝える」ことによって、支援って簡単に前に進むものだという幻想を抱かせてしまうというデメリットもあると思います。
そんなことを考えると、言葉に詰まってしまうのが、正直なところです。
だからこの辺は、プロである、大学の先生やお医者さんに任せるのがいいんじゃないかとも、思う日々です。