【はじめてのヴィトゲンシュタイン】
いやあ、面白い。後期のヴィトゲンシュタインに入り、ますます面白くなってきました。
「自分の目の前にあるものを見るのは、なんと難しいことか」
「人が釘付けになっている見方とは別の見方を提示することにより、当人の硬直した思考を解し、精神的痙攣を解くきっかけを与えるため」
「現象の背後には、何も隠されていない。現象の背後に隠されている謎や秘密など何もない」
すごく共感するし、納得だなあ、と思いました。
「言葉はそれだけでは何の意味も持たない。文脈の中にあってこそ」というニュアンスも、本当にそうだと思いました。
そして何より、彼の生き方考え方が、すごく共感しました。
大学の講義をするようになったときに、終わったあとの自分で語った言葉が、無価値で浮ついたものに思えて仕方がなかったこと。
彼が哲学と距離を置き、学校の先生を選んだこと。
哲学をずっと考え続け、答えを出して終わりにしたいけれど、終わりがなく、彼にとっての哲学は愛憎半ばな存在であったこと。
こんなことを言うとヴィトゲンシュタインに失礼かとは思うのですが、今まで著名な方々のお話を読んできて「面白い」と思うことは山ほどありましたが、「自分と重ね合わせてしまう」と思ったことは初めてでした。
自分が起こした行動とその時の心情が、なんだか重なってしまっているように思えてしまいます。
年齢もほぼ同じくらいに、同じ行動を起こしていて。
もちろん、これだけ著名な彼と、かたやしがない田舎にひっそりと働いている私とでは、地位や名声は到底比べ物になりませんが。
少し、彼の生涯やその時の心情を、追いたいと思いました。
237ページまで、読み終わりました。残り2割ほどで、読み終わります。