【はじめてのヴィトゲンシュタイン】
「哲学的問題を解決することは、自分の立場や従来の考え方を変えることを意味する」
「ステレオタイプで物事を考えるのは楽で楽しいが、現実の難しさや複雑さを丁寧に辿るのは退屈で面倒だ。しかし、その愉快でないときが最も重要なことを考えているときだ」
「自分が変わり、現実をわかり、現実を変えるために必要な最後のピースは『勇気』なのである」
ヴィトゲンシュタインの哲学は、前期と後期に大きく分類われます。
前期は完成された哲学。後期は、未完成な哲学といった感じでしょうか。
20代から30代前半のときは私も、「完成されたもの」を目指していたような気がします。
でも、未完成なものを出すことの美しさってあるような気がしています。
芸術に詳しいわけではありませんが、ミロのヴィーナスも、未完成ゆえにあれほどのまでの魅力があるとも言われています。
そう、完成品を「どうだ!」とばかりに見てもらうのは、きっと違うんでしょうね。
それよりも、未完成なものを未完成のまま出す。そこに議論が生まれ、完成を目指して動き出す。
そう、未完成だからこそ、面白い。
先日も、とある投稿で「優れた教師は、授業であえて不安定な状態を創り出し、不安定さを楽しむ」とあり、大変共感いたしました(私は決して優れた教師ではありませんが)。
未完成で不安定だからこそ、議論が生まれる。
それをするためには、相手を信じ、任せる。そんな勇気を持つ。
ヴィトゲンシュタインへの入門書を読んでいて、そんな感想を、最後に持ちました。
11/15(水) 304ページ、読了しました。